第93話

意識が戻ったら連絡する、と言ったケンのお父さんからは、昼になっても連絡が来ない。



「まだ目を覚さないのかな…」


ガクとベッドに横になりながら言った。



「そうだな…」


ガクは口数が少ない。



するとガクのスマホが鳴る。



携帯からじゃなく、固定電話からだった。



「もしもし」


ガクは病院からかもしれない、と急いで電話に出た。



「警察?……警察が何で?」



私も耳を澄ます。



どうやら、ケンが電話をかけて来た時の様子と内容を聞かれている。



「病院にも顔出したいから、そっちに行く」


ガクと私は、昨日の事情を聞きたいと警察署に呼ばれた。



「おばさん達も事情聴取を受けたらしい。


ケンが自分で"飲んだ"のか、それとも"飲まされた"のか、調べてるって」


ガクは言う。



「ケンの親が疑われてるって事?」



「いや、あくまでも仮定の話だって。


ケンの目が覚めたら、ケンの口からも聞くって言ってた。


アイツが自分で飲んだ、で間違いないだろ」

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