第90話

ケンにはお母さんが付き添って救急車に乗り、お父さんと弟は自動車で病院に向かう。



「ノン、しっかり掴まってろ!」


ガクはいつもよりスピードを出して走った。



信号に捕まりながら、救急車に遅れを取って総合病院の夜間救急出入り口に着く。



もうケンは中に運ばれている様子だ。



私達も走って中に入った。



「ケンは⁉︎」


ガクが処置室から出て来た救急隊に声をかける。



「今、処置中です」



私達は処置室の前の長椅子に座った。



「ケン…うちに来た時から考えてたのかな…?」


ガクは質問に答える余裕が無い様子だ。


珍しく貧乏揺すりをしている。



そこに受付を済ませたお母さんと、お父さん達も到着する。



ケン…お願い、死なないで。


鈴、ケンを助けて!



待つ事しか出来ない時間がもどかしい。

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