第80話

「それ、どうしたの?」


真っ白なヘルメット。



「1番近い街まで買いに行ってきた。


これ、ノン専用のメットにしような」


私専用。



「嬉しい!」


鈴が死んでから、私はバイクに乗っていなかった。


きっと私達が乗っていたのが車だったなら、鈴は死ななかったと思う。


そう考えたら、ちょっと怖い。


でも、私はガクの大きな背中が好きだから。


どんな事があっても、ガクのお腹に回した手を離さない。



「ガク、お腹空いた」



「あははははっ!また飯かよっ!


良いよ、レストラン行こう」



ガクと居たら笑顔が絶えない。



この人が居たら生きていける。


ガクにもそう思ってもらいたい。



久しぶりのバイクは緊張した。


でも、ガクはゆっくり走ってくれた。



「あと少しで車の免許が取れる歳になる。


そうしたらドライブに行こうな」


そう言ってくれた。

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