第67話

「そっか…そうなんだ」



低い声でそう言った。


ガクの顔が見れない。



「お幸せにな。


バイバイ、ノン」



ガクはゆっくり私達とすれ違った。



涙が次から次へと流れる。



その場にしゃがみ込んだ。



「ぅっ…ひっく…っ、ぅぅっ…くっ」



自分でピリオドを打った。



「花音…今の、元カレ?」


勇気君はハンカチを差し出してくれる。



「ごめっ…っくっ、ごめんなさいっ…。


彼氏…彼氏って言ってっ……っひっく…」



涙が止まらない。



「俺は良いけど…本当に良かったの?


元カレは花音を想って、ここに来たんじゃないの?」



「……」


何も言えない。



「花音。


花音が卒業するまで言わないつもりだったけど…。


俺は花音が好きだよ。


1人の女性として」



その言葉を聞いて、更に涙が溢れる。



「選んで欲しい。


俺と彼と、どっちと帰るのか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る