運命

第66話

勇気君と並んで海辺を歩く。


ガクと歩いた海辺を違う人と歩くなんて思ってなかった。



「サウナ後だと気持ち良いね」


勇気君は言う。


「そうだね」


私は上の空で返事をした。



「花音、すっかり元気無くなったね」


無口な私を見てそう思ったんだろう。



その時だった……。



運命のいたずら。



「ノン?」



えっ……。



「ノン?」



海を見ていたから、前から歩いて来る人に気付かなかった…。



「ガク…」



立ち止まり見つめ合う。



「その人は?」



ガクは勇気君を指差した。



「この人は……」



私は勇気君の腕を掴んだ。



「この人は彼氏」



震える声でそう言った。

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