第63話

「それって恋なんじゃないの?」


友達に言われた。


「付き合っちゃえば良いのに」って。



「そういうんじゃないんだよねぇ。


男って言うより、親戚のお兄ちゃん的な」


私はそう答えた。



「でも、向こうはそう思ってないんじゃない?


だって、毎週末ノンの為に時間を作ってくれるんでしょ?


きっとノンが好きだと思う!」


そう力説される。



「恋とか愛とか、もう良いかな。


いつか結婚する人だけで充分。


恋愛には終わりが来るかもしれないけど、友達には終わりが無いし。


このままで良いんだよ」



もうあんな辛い思いはまっぴらだ。


ガクとの恋は一世一代の恋だった。


その想いを上書きするつもりはない。



誰かに強く抱き締めてもらいたい時はたまに有る。


でも、そのくらい我慢できた。

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