強い女

第54話

ガシャンッ!



私はテーブルに乗っていた空のビール瓶を手に取り、テーブルの角で割った。


手が切れたみたいだけど、痛みは感じない。


店内はシーンとする。



私は智の首に割れた瓶を突き付けた。



「おっおい、止めろよ!


ジョークだよ!単なるジョーク」


両手を上に挙げた。



「沙羅と美月を下ろして!


そして2人にもう触らないでっ!


私、本気だよ」


瓶の先で智の首が少し切れたのがわかった。



「おいっ!


お前ら言う事聞けよ!


俺がどうなっても良いのかよ!」


智は残りの2人にそう言った。



週末の飲み屋、目撃者は沢山いる。


私は敢えて騒ぎを起こした。

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