第43話

セックスの後、ガクと話をした。



「ガクは背中にホクロがあるんだよ。


知ってた?2つ並んでるの」



この身体を覚えていよう。



「知らねぇよ、見えねぇし」



ガクは小さく笑う。



「あと…お腹に傷。


これは何の傷?」



「それは、ガキの頃に本当の親父に刺された」


ガクはサラッと言った。



「えっ?刺されたってどういう事?」


聞いた事のない話だ。



「父親は酒癖の悪いヤツだった。


酔えば母親を殴るし、小さい俺にも手を挙げた。


その時の俺の泣き声がうるせーって、酔った馬鹿は包丁を持ってきて…。


でも、命に関わる深い傷じゃなかった。


こうしてピンピンして生きてんだ、もう忘れちまってた昔の話だ」


ガクはタバコを吸いながらそう話してくれた。



「もう刺されない様にね…。


怪我には気をつけて?」



「わかってるよ、大丈夫」

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