第38話

ガクは泥まみれになりながらも、まだ闘っていた。



中居はその奥に居る。



アイツの顔を見ると強い恐怖と、強い殺意が湧き出てくる。



死んでしまえば良い。


ガクが殺せなくても私が…。


完全に我を失っていた。



「女、連れて来た!」


髪の毛を鷲掴みにされる。



「イタイッ!」



「その女、こっちに連れて来い!」



中居はそう言った。



一歩、また一歩と近付いていく。



ガツンッ!!!



大きな音と同時に、私の横に居た男が倒れた。


ガクが頭を鉄パイプで殴ったようだ。



ガクは私の腕を強く掴む。



「コイツは渡さない!!!」



「アイツ…純もそうだった。


通りすがりの女を庇っていた!


俺の女だとも知らずになっ!!!」


中居はそう言った。

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