第21話

「1人?マナブ君は?」


優しい穏やかな声。


「ガクは仕事に行きました。


私はユズさんと話したくて…会いに来ちゃいました」


ユズさんはタオルをテレビ台の上に置いた。


きっと、純さんの体を拭く為に持ってきたんだろう。



「話って?」


ユズさんは椅子に座った。


「純さんとはいつから付き合ってるんですか?」


何から聞いたら良いかわからず、思いついた事を口にした。


「そんな事聞きたい?」


そう言って小さく笑う。



そして話し出す。


「私と純が出会ったのは、私が21歳の時…4年前ね。


純は…そう、今のノンちゃんとマナブ君と同じ歳の17歳だった。


私がガラの悪い連中に絡まれてる所を助けてくれて、お礼に近くのカフェでコーヒーをご馳走したの。


その時はまさか、純が高校生だなんて思わなかった。


てっきり私と同じ歳くらいかなって。


純は私に年齢を隠して、毎日そのカフェに会いに来るようになったの。


約束しなくても同じ時間に行けば純もいた。


お互い、一目惚れだったの。


純は今と変わらず、目をギラギラさせて純なりの正義を語っていた」

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