第19話

「私はガクの側に居たい。


辛くても、苦しくても離れない。


もう泣かないから…ガクの前では泣かないから。


だから、側に居させて?」


するとガクは私を抱き締める。



「俺の前で泣かないで、一体誰の前で泣くんだよ」


抱きしめ合ってると、ガクの葛藤が伝わってくる。


きっとガクは純さんの仇を討ちたいんだと思う。


私が手を離したら、今にも飛んでいってしまいそうだ。


ケンが車椅子になる前は、ガクの片腕のケンがガクのブレーキになってくれていた。


でも、もうケンは喧嘩の世界には戻って来ない。



ケンの代わりに私がブレーキにならなくちゃ…。



私とガクはベッドで抱きしめ合って仮眠を取った。


1時間くらい寝るとガクは仕事に出勤した。


私は学校に行く気になれず、ガクには内緒でズル休みをしてしまった。



そしてタクシーに乗って、純さんの病院に再び向かった。


これもガクには言ってない。


私はただ、ユズさんと話したかった。



ユズさんが今までどうやって、県内トップの最強な男の女をやってきたのか。


それが聞きたい。

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