第18話

「私、これ以上大切な人を失いたくないよ?」


不安で泣きそうになる。


「ノンの気持ちはよくわかってるつもりだ。


それにいくら純が言ったからって、俺が後釜になる事をよく思わないヤツもいるだろう。


簡単に純が今の地位を築いた訳じゃねぇし…。


ちゃんと考えたい」



ガクは迷っている…。


私はそれも不満だった。


私の為に、どうしてキッパリ断ってくれないの?


不良の世界に未練があるからなの?


言葉にできない思いが蓄積していく。



「ノン、少し家に帰ってろ」



「えっ?」


耳を疑った。



「ガクは1人で考えて、1人で結論を出すつもりなの?


私には関係ない事なの?」



涙がポロポロ流れる。


「違う、そうじゃない。


今の俺と居ても、ノンが苦しいだけだ。


俺はいつ夜中に出掛けるかわからない。


心配かけたくないんだ」



そんな事言われたら、ガクが1番辛い言葉を言っちゃいそうになる。



私が持っている爆弾。


でも、言ったら終わるかもしれない。


だから言わない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る