第12話

静かにドアを開く。



「あっ!マナブ君。来てくれてありがとう」


そう言う女性は椅子から立ち上がり私達を見た。



綺麗な花柄のドレスに、アップにセットされた茶色い髪、濃い目の化粧に派手なネイル。


きっと夜のお仕事の人だ…。


説明されなくてもそう感じた。



私はベッドに目を移す。


酸素マスクを着けて、頭は包帯がグルグルに巻かれている。


顔は腫れていて誰かわからない。


酷い黒くなったアザを見て、殴られたんだとはわかった。


「様子は?」


ガクが女性に聞いた。


「さっきマナブ君に電話をした時は呼吸が凄く乱れていて…。


今は落ち着いた所だけど、まだ油断はできないって先生が。


2人とも椅子に座って?


マナブ君の彼女さんだよね?


遅い時間にごめんなさいね」


優しい穏やかな話し方をする人だ。

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