第5話

ケンは市の体育館で車椅子バスケをしている。


今日はその見学に来た。



「あの喧嘩しか脳の無いアホが、朝からオムレツねぇ…。


相当、気持ち悪いな」


そう言って笑う。



「気持ち悪くないよ!今度食べにおいでよ。


ケンがいつ来ても良い様にって、バリアフリーの部屋を探したんだよ?


だから、遊びにおいで!」


そう言ってもケンは行くとは言わない。


きっと3人で居ると、その場に居ない鈴を想うからだろう。



「でもさ、アイツもそろそろ喧嘩したくなるんじゃねぇかな」


ケンはボソリと言った。



「ガクは喧嘩はもうしないよ?


そう約束してくれたんだもん」


私はケンの目線に合わせて話す。



「喧嘩って中毒性あるからさ。


ガクほど強かったら尚更。


向かう所敵なしだった訳だし。


俺はその鬱憤を車椅子バスケにぶつけてるけど、ガクはやり場の無い拳をどこにぶつけてるんだろうな。


葛藤は絶対あると思うぞ」


ケンの言葉は説得力があった。

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