第12話
簡単に諦めてしまうような絆は、きっと友情とは呼べないだろう。
なら、わたしと彼女の間にあった貧弱な繋がりの糸は、一体なんなのか。
そこまで考えて面倒くさくなって、視線を窓の外へ放り投げる。
見慣れた建物の頭のたちと、モノクロの曇天。
最近は夏らしい青色の快晴が多かったため、曇っているのは久しぶりだ。
だけれど、少し暗めの今のほうが心が安定する。
「とにかくノートは絶対提出したほうがいいぞ」
「……今日、栞休みだから借りれない」
「高校生にもなって。幼馴染に頼らず自立しろよー」
「おれが世話してる側だ」という粟田くんのハスキーな声と「どっちもどっちだな」と笑い混じりな佐野くんの言葉が聞こえてくる。それを追いかけるように授業のはじまりを知らせるチャイムの音が心地よく教室に響いた。
はじまった英語の授業をぼーっと聞きながら、ぼーっと思いを巡らせる。
友達って面倒くさい。
ついさっきの出来事を思い出すと、胸の奥のほうが黒く染まる。
いつもどおりわたしが彼女に話しかけようと席を立った瞬間、彼女は冷たい瞳でわたしを一瞥してどこか教室の外へ行った。
そのシーンが、頭のなかをぐるぐるぐると巡る。
昨日は、移動教室のときに気づけば置いてけぼりにされていた。
気づかぬうちに気に障るようなことをしてしまったのか。心当たりもないから分からない。
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