第10話
裏表がなくてやさしくてカッコいい、みっつの最強を兼ね備えた栞ちゃん。
一見だるそうだけれど実はしっかり見ていてくれる粟田くん。
どこかの物語から出てきたみたいに、ふたりはキャラが立っている。
やばい、ファンになってしまった。
ぽかぽかとあたたかい感謝が、笑みにかわってこぼれる。
よっし、いっちょがんばるか!
心のなかでつぶやいた言葉は、あまりにも自分に似合っていない。
だけれど、たまにはそんな感じでもいいじゃないか。
陽キャにはなれないけれど、陽キャな彼女たちと仲良くなるくらいならわたしにだってできるはずだ。
イライラとして忘れていたけれど、わたしが彼女と仲良くしていたのは、優しくてわたしを引っぱってくれる彼女のことを好きだからだ。大好きな友達だからだ。
だからきっと、だいじょうぶ。
ハッピーエンドはひとつじゃない。
だから、失敗してもほかのルートを模索して、ぜったいに幸せを見つける!
体育館の影から出ると、生暖かくて重い空気が肌に纏わりついた。
ギラギラと降り注ぐ日光。光を貯蓄して白くなる運動場。夏空のあお、入道雲の白。
見えた数十分ぶりの景色は、さっきよりも眩しい、気がした。
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