第3話
ひとけのない場所、体育館と武道場の間の薄暗い空間へ必死に足を動かしてやってくる。
ここは前に治安の悪めな生徒が爆竹をしていたことから、厄介事を避けるため立ち入ることを校則で禁じられている。
だけれど、少しくらいはいいだろう。
外に出た瞬間は、強すぎる夏の陽射しに汗が吹き出していたけれど、ここは影で、いいくらいに涼しい風が通る。
誰もいない空間。
それがすごく安心できて、わたしはしゃがみ込んで息を吐いた。
呼吸が久しぶりなのではと思ってしまうほどに喉の奥が真っ黒だったことに気づく。
「うぅ…………気持ち悪い」
吐き気とかはない。
この重暗い感情が、友情とやらが、思わず口からついで呟いてしまう程には気持ち悪い。
もう、なんか嫌だなあ。友達とか。
「――あれ、大丈夫?」
沈黙を破ってかけられた言葉に、体がびくりと跳ねる。
「隣、おじゃまするね」
明るい声に、ゆっくりと顔をあげる。
わたしの隣に、艶のあるセミロングの茶髪女子が足を伸ばして座っている。
そして、その横にもうひとりいるのが分かった。
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