第2話
というか、わたしは教室でぼーっとしていたいのだ。席についてぼんやりと窓の外を眺めたり、ゆっくりと読書をしたり。
最近ハマりの歌い手さんの世界に飛ぶのもいいな。爽やかな曲から闇っぽい曲まで様々なオリジナル曲を手掛ける。曲も大好きだけれど、なにより歌っている男性の優しげなハスキーボイスはするりと頭に入ってくる。
わたしの大好きな世界。
そこに浸っていたい……のに、せっかくの休み時間が、最近はつらい時間と考えるようになってしまった。
友人の強引な誘いに「無理」の二文字を言うだけでいいのに、わたしにそんな勇気は欠片もない。
いや、その前になぜ彼女はわたしが「楽しくなさそう」だと気づきながらわたしをここへ引っ張って来るのだろう。
教室でひとりでいるのが〝可哀想〟だとでも思ったのだろうか。もしそうならばすごく余計だ。
「……ちょっとトイレ行ってくるね」
「んー」
黒色になった感情がこれ以上は堪えられそうになくて、足早にその女子グループから離れる。
だけれど元々わたしのことなんて殆ど気に留めていなかった彼女たちはまったく気にしていなそうだ。
本当に、なんのためにわたしを毎日毎日連れてきているのか。
『楽しくなさそうだよね』
そう言った彼女の哀れみの視線を思い出して、喉の奥が気持ち悪くなる。
哀れみって、なに?
同情? カワイソウって? 見下してる?
なんだそれ。すごく、気持ち悪い。
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