第86話

「じゃあ、私も!」


鈴は手を挙げた。


「鈴は駄目!」


私達は口を揃えてそう言った。


行きたい行きたいと騒いだけど、鈴を家に送り届けて待ち合わせ場所の市の運動施設に向かう。


広いグラウンドが何面もあり、サッカーやラグビー、野球まで出来るそうだ。


夜は使われていない施設は薄暗い。


先輩と待ち合わせしたのは体育館前のバス停。


薄暗いバス停の横に出間先輩は立っていた。


私とガクはバイクを降りる。


ケンは少し離れた所でバイクに寄り掛かっていた。


「出間先輩…呼び出してごめんなさい!」


私は着くなり謝った。


「別に良いよ。


ノンちゃんと付き合ってるんだから心配して当然だ」


ガクを目の前にして平然としている先輩に少しの違和感を感じた。


「俺が和田 学だ。


手を出すつもりは無い。


話し合いで決着つけようぜ」


「そうしてくれるとこっちも助かるよ」


出間先輩はガクが怖くないのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る