第85話

「どうやって?どうやって話を…」


「心配すんな、暴力は振るわない。


相手が手を出して来ない限り俺は手を出さない」


良かった…心底安心する。


私は出間先輩の連絡先を教えた。


「ガク、会うなら私も連れて行って?


ちゃんと見届けたいから。お願い」


ガクは了承してくれた。


そして私達の前で出間先輩に電話する。


「もしもし。出間ってお前?」


ガクの表情が険しく変わる。


「俺、和田 学だけど…わかるよな?」


先輩相手に敬語は使わない。


「顔貸してくれる?悪いようにはしないから」


そう言って夜20時に会う約束をした。


ガチャ!


部屋のドアがいきなり開き、私と鈴はビックリして体が跳ねる。


「えっ?何?この空気」


ケンが戻ってきた。


鈴はケンにも事情を説明する。


「俺も行く」


「何でだよ。お前はいらないって」


ガクは言う。


「俺はお前が暴走しない為のブレーキだよ。


口挟むつもりはないから」


ケンが居てくれた方が私は安心だ。

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