第82話

元カノはその場で泣き崩れる。


その隙にケンが元カノの腕を掴んだ。


凄くホッとしたと同時に怒りが込み上げてきた。


ケンに立たされた元カノの前に立つ。


パチンッ!


私は生まれて初めて人に手を挙げた。


元カノの頬にビンタする。


「アンタ卑怯だよ!


命を盾に男の気を引かないで!


命をもっと大切にしな!」


「……」


元カノは何も言えないでいる。


「ガク、俺美織を送ってくるよ。


お前はノンちゃんのそばに居てやれ」


「悪いな、頼んだ」


ケンは元カノを連れて屋上を後にした。


私な元カノを叩いた手を見つめる。


叩かれるのも痛いけど、叩く方も痛い。


「ノン、ありがとな」


ガクは申し訳無さそうに私の背中を摩る。

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