第68話

「ガクのこと、悪く言わないで下さい」


先輩を睨む。


「和田 学は俺の友達の人生を台無しににしたんだ。


そいつは二度と野球ができない体にされた。


和田 学を俺は許さない!」


えっ……。


「……きっと何か、何か事情があったはず。


何にも無しにガクは手を出したりしない!」


私は首を横に振った。


「ノンちゃん、そう言い切れる?


アイツの何を知ってる?


俺は知ってるよ!


どれだけ狂ったヤツか、アイツは狂ってる」


「…違う…違うっ!違う!


狂ってなんか無い!


私はガクを信じます!」


そう言って先輩に背中を向けて歩きだす。


「じゃあ、和田 学に"ナカイ シュンペイ"ってヤツのこと聞いてみなよ。


どっちが信じられるかわかるから!」


先輩は私の背中にそう叫んだ。


ナカイ シュンペイ…。

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