空回り

第56話

ガクが見てるまえで着信拒否を解除する。


「もうバイト行かなきゃ」


私はバイト先までガクのバイクで送ってもらった。


「じゃ、ありがとう」


「ああ。またな」


そんな言葉とは裏腹に2人とも手を握ったまま離さない。


「せーの!で行くね!」


私は笑った。


「わかった」


ガクも笑う。


「せーのっ!」


……あれ?


やっぱり離さない。


「もう!めちゃバカップルじゃん!


本当に行くからね!」


私はバイト先に入って行った。


今日は鈴と同じシフト。


バイト中は話せないけど鈴は私の顔を見て安心した様子だった。


明日、菜々緒にもガクとの事を話さなきゃ。


そう思っていたけど、明日じゃ遅かった。

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