第54話

泣き続ける私の背中を摩る。


「手を出すのは簡単だ。


欲望のまま抱いた方が楽に決まってる。


それでも俺はお前が大切だ。


その証として我慢する。


ノンの初めては俺がもらう!


でもノンの幸せな思い出にしてやりたいんだ。


こんな汚い部屋じゃなくて、もっと綺麗な場所で綺麗な体験にして欲しい。


伝わってるか?


俺の言ってる事、伝わるか?」


ガクは涙で濡れる私の顔にキスをする。


「私としたいと思う?」


「もちろん、思うよ」


「大切にしてくれてるだけ…なんだよね?」


「ああ、大切にしたい。


信じてくれるか?」


私の手を握る。


コクリと頷いた。


「そうだ…旅行行こうか。


2人きりで泊まりで。


それまで待ってるから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る