第39話

"敵も多いから"とガクはさらりと言ったけど、平和ボケしている私には全然どういう事なのかわからなかった。


私達は自宅の最寄りの駅で電車を降りる。


「ガク、ここまでで良いよ!


疲れたでしょ?帰って休んで?」


私は改札を出て言った。


私、ガクがどこに住んでいるかも知らない。 


「高1の若さ舐めんなよ、大丈夫だ」


そう言って笑って家まで送ってくれた。


「昨日から本当にありがとう!


めちゃくちゃ助かったよ。


ガクが居てくれて本当に良かった」


家の前でガクを見上げる。


「どういたしまして。


また連絡する」


次はいつ会える?って聞けない。


「じゃ、行くよ」


頭を優しく撫でて帰って行った。


きっと、またすぐ会えるよね。


この時もっとガクの背中を目に焼き付けておけばよかった…。

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