第21話

私達はソファーに座る。


「緊張してる?」


「うん…ちょっとだけ」


ちょっとだけではない。


「俺、ノンちゃんのこと好きだけど


弱ってるとこに漬け込むほど


腐ってねぇから安心して?」


そう言って大きな手のひらを見せて私の前に差し出した。


「手だけ繋いでいよう?」


ガク君は本当に優しい。


だから大丈夫、大丈夫、大丈夫。


私はゆっくり手を重ねる。


すると強く握ってくれた。


恋人繋ぎ…温かい。


「親は2人一緒に働いてるのか?」


「ううん。


お母さんが市の図書館で働いてて、お父さんは普通の会社員。


夜ご飯の時間には2人とも帰ってきて家族揃ってご飯は食べる事になってるの」


緊張が解れていく。


「どちらか片方がじゃなく2人揃って帰って来ないのが気になるよな」


ガク君は真剣に親身に私の話を聞いてくれる。

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