第20話

9時…まだ親とは連絡が取れない。



ピンポーン!ピンポーン!


チャイムの音に体が跳ねた。


ガク君かな…。


私は玄関の横にある鏡で前髪を整えた。


ドキドキする。



ガチャ!



ドアを開けると白いパーカーにジーンズ姿のガク君。


私よりかなり背が高くて肩幅も広い。


そして写真よりイケメンだ。


「あっ…はじめまして」


笑顔でそう言えたと思っていたけど、きっと引き攣っていたんだと思う。


ガク君は大きな手で私の頬を軽く掴んだ。


「はじめまして。


ノンちゃん、そんな無理して笑うなよ」


やだ…優しくて涙出そう。


それだけ不安だったから。


「疲れてるのに来てもらってごめんね!


入って、入って」


私は涙が落ちない様に振り返ってスリッパを出した。


「お邪魔します」


2人きりのリビング。


緊張してきた。


男友達が家に来た事はないし、今1番気になっている人だから。

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