第16話

スマホを持ったまま首を傾げて鈴を見る。


「バイト…中3からしてるんだって」


「愛しのガク君?」


鈴は冷やかしながら靴を履いた。


「…苦労してるのかな?」


家庭の事情とか…。


「わかんないけど私達より大人だね」


大人かぁ…確かに。


「私もバイトしたいな!


好きな物は自分で買いたいし。


ノンも一緒にしない?」


「したい!バイトする!」


高校生になったらバイトしたいと思っていたから即答した。


「一緒に探そうよ!出会いがあるバイト」


鈴は好きな人がいないと心のバランスを崩すタイプだ。


そんな今、鈴には好きな人はいない。


完全にバランスを崩している。


「出会いがあるバイトって例えば?」


「オシャレなカフェとかカラオケとか!


よしっ!私本気で探す!」


鈴の勢いに巻き込まれてバイトアプリをダウンロードした。

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