第19話

「ねえ、ユアルーナ。ユアルーナさんっ」


 ヤナは得意の腹話術で、雪ぐまが話しているように見せかける。

 ヤナの姿は雪ぐまの後ろに隠れて見えないから、本当にぬいぐるみが話しているようだ。


「ユアルーナさん。ユアルーナさん。いつも、ぼくたちをつくるのを手伝ってくれてありがとうね」


 雪ぐまの耳がひょこひょこ動いた。

「本当、感謝しているんだよ。ユアルーナさんはぼくたちにすごく優しいし。お世話してくれるし」


「どういたしまして」


 腹話術のヤナの声は、やけにかわいらしい。

 心が暖かくなる。


 ユアルーナはくすくすわらって、ぬいぐるみを撫でた。


「ヤナパパも、ユアルーナさんのつくるスープがすごくおいしいから、うれしいって」


「わたしもヤナが淹れてくれるお茶奈が好きよ」


「ぼくたち、ユアルーナさんのおかげで毎日が楽しいんだよ。また一緒に遊んでね」


「よろこんで」


「ヤナパパは、いつもユアルーナさんの味方だよ。ぼくたち雪ぐまもついているからね」


 雪ぐまの丸い手が持ち上がり、ユアルーナの頬にぽんぽん触れる。


「ねえ、ユアルーナさん、ユアルーナさん。ぼくたちと、ヤナとユアルーナさん。みんなでの生活は幸せだよね。友達同士で暮らすのも、気楽でいいものだよ」


「本当、そうだよね。ありがとう、雪ぐまさん」


 ユアルーナは雪ぐまの頭を撫でた。

 ヤナはまた雪ぐまの後ろに姿を隠している。


 ありがとう、ヤナ。


 ユアルーナは心の中で語りかけた。

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