第13話

 ターシアスはどんな絵を描いてきただろう。


 広い広い世界で、なにを見てきただろう。いろんな物を見て、いろんな体験をして、ターシアスはそれを全部絵に閉じ込めただろう。


 ユアルーナが大好きな優しい目をして、また熱を込めて絵を描くだろう。


 優しい優しいターシアス。


 ユアルーナを置いて旅に出ると決めたときだって、本当に申し訳なさそにしていた。ターシアスのほうがずっと淋しそうで悲しそうだった。


 そんな優しさも、夢のために外の世界に飛び出していける強さも、ユアルーナは大好きだった。


 ユアルーナの両親が亡くなったとき、ずっとそばにいてくれたターシアスを、兄みたいだと思った。


 ターシアスもユアルーナを妹みたいだといってくれた。家族のように当たり前に寄り添い合えた。


 いつの間にか、ユアルーナとターシアスの気持ちは恋心に変わっていた。

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