第11話

 消してしまいたい、過去の言葉……。


 たった一回のあんな小さな失敗で、わたしとアミナの世界は壊れてしまった。


 寒さのせいか眠くなってきた。うつらうつらとしたながら、ユアルーナは昔を思う。


 目の前には、夢うつつの白く霞んだ風景が、優しく広がっている。


 何度願っても、もう取り消すことはできない。


 もう一度あのときにもどれたら、絶対にあんなことはいわない。


 アミナがいって欲しい言葉を伝えるだけじゃなく、彼女を救える言葉を考える。


 もし、言葉を取り消せないとしても、あの後で自分の気持ちを話せばよかった。しつこいくらい話して、失敗を取りもどせばよかった。


 アミナの好きにすればいいと思うよ。でも帰ってきてね、

 必ず、帰ってきて。


 そう伝えればよかった。


 まぶたの裏に、アミナの姿が浮かぶ。


 ……ねえ、アミナ。帰ってきてよ。

 親友がいなくなったんだよ。わたし、淋しいよ。


 叫んでも、アミナはなにも答えない。悲しい目をしてユアルーナを見ていた。

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