第10話

 ユアルーナはうんうんと唸る声で、はっと我に帰る。


 ヤナが雪うさぎと真剣な顔で、にらめっこしていた。


「縦横縦横……」

 意味が分からないことを、うさぎ相手につぶやいている。


「なあ、ユアルーナはどう思う? うさ耳の角度。縦がいいかな。横がいいかな」


 ヤナはうさぎの耳を立てるか寝かせるかで悩んでいた。


「うーんとね。その仔は女の子だよね? まだ幼獣だし、横のほうがかわいいと思うよ」


「そっか。ありがと」


 ヤナはやけにうれしそうにわらう。


 雪うさぎの頭を撫でた。


「なあ、お前はたれ耳が似合うって。ユアルーナが考えてくれたぞ。そうだよな。お前は優しい仔だもんな」


 ふわふわの毛で作られた雪うさぎが揺れる。青い天然石の瞳がきらきら輝く。

 うさぎの瞳がなにか語りかけてきたように見えた。


 うさぎの大きな瞳に、光が差し込んて透きとおった。

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