第9話

 そう、まだほんの子供だったあのときが、今でも一番だ。

 なんの悲しみもなく、無邪気にわらっていた。


 わたしと、アミナとヤナと、……そしてあの人がいた。


 ……会いたいよ、アミナッ。


 またわたしたち四人で無邪気にわらって遊びたいよ。


「最後にみんなで遊んだのも、雪の森だったよな。あれが最後の楽しい想い出だった。でも、きっとアミナには最後じゃなかったよ」


「え?」


「森に着いて、あの想い出と一緒に逝けたんだと思う。ユアルーナのおかげで、アミナは最後まで幸せの中にいたんだよ」


「ありがとう、ヤナ」


 涙が出てくる。


 ユアルーナは目を閉じて、また降り積もる花雪を想った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る