第8話
……アミナに会いたいな。
ユアルーナはアミナが好きだった森の方向を見つめる。
森には真っ白な雪に覆われていて、息を飲むほど美しい。
きれいなきれいな一面白の浄らかな世界だ。
風で舞いあがった粉雪が、ダイヤモンドダストのように降り注いでいた。
この国と共に生きる雪の妖精の住処は森だといわれている。雪うさぎたち動物と遊び、植物を護って暮らしている。
国にいくつかある大きな森のどれかに、妖精の城もあるそうだ。
ユアルーナの村の森は小さいから城はないだろうが、妖精たちが遊ぶことはあるだろう。
「覚えてる? 雪が降る度に、みんなで森に行ったときのこと」
「アミナが胸の病気になる直前に?」
「楽しかったな。これが一番楽しいって、みんなで話したよね」
必ずお弁当を持って、森の奥深くまで行った。みんなで歌を唄いながら、雪を浴びた。
雪だるまをたくさんつくった。
雪原を走る雪うさぎを見つけて、遠くから眺めた。
転んでひざを擦りむいたヤナの怪我が、一瞬で治ったことがあった。
あれはきっと、雪の妖精の力だ。姿は見せてもらえなかったが、ヤナを癒やしてくれたのだ。
雪の妖精の祝福をもらえたと、大感激だった。
みんなで何度もお礼をいった。
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