第6話

「……ねえ、ヤナ」


 アミナの姿もまぶたの裏に浮かぶ。鼓動が早くなり、ユアルーナはうつむく。

 どきどき、どきどきと、まるで窒息しているような気分だった。


「ヤナだったらどうした? アミナになんていった?」


「分からない」


 考えたことないんだ。俺は、ユアルーナみたいに優しくないから。

 ヤナは続ける。


「ユアルーナはちゃんと考えていたんだよな。だから、アミナはユアルーナに聞いたんだよ」


 一番、好きな森で逝きたい。


 長い間患っていた、アミナの必死な願いだった。


 ……アミナの好きなようにすればいいよ。


 ユアルーナはアミナを励ますつもりでいった。アミナの願いを否定なんかできなかった。でも、本気で行けばいいと思っていたわけじゃない。


 だが、アミナは本当にベットを抜け出して、外に行ってしまった。そして、森に辿りつき、そのまま倒れて逝ってしまった。

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