離れ離れ
空間道路を走っている独走状態の車をグレタは下から見つめた。こんな時間に何かの任務かしら。どこかで不法移民の集団が暴動を起こしたとか。でも、そんなことは私には関係がない。私は今の休暇を楽しんで、平日になったら出版社に出勤する毎日を送り、そして、その言う人生を送る。それが私にできる唯一のこと。もう、恋人を見つけることは不可能なのだから。
グレタはそう思いながら、近くにあるレストランに向かった。このレストランは休日だからという理由ではなく、もはやどこにいるかもわからない旦那とデートしたカフェに雰囲気が似ていたから。確か、そのあとの公園で彼女はプロポーズを受けた。それが最初で最後の彼女の恋愛経験だった。
店の中はジャズが流れ、端っこに長テーブルが設置されている。彼女は席につくいなや、ハンバーガーを一つ注文した。ハンバーガーはすぐに来た。きっと、作り置きしていたのだろう。ハンバーガーの中にはチーズとオニオンソースがかけられたハンバーグだった。
グレタはそれにかぶりつく。グレタには今日の休日は何もすることはなかった。スーパーに行って、特売品を買うとか服を新たに購入するとか。だけど、今回の休日はそれでは終われない気がした。今日こそはあの人を探しに行こうかしら。無理かもしれないかもしれないけど、もしかしたらの可能性を信じて…。ハンバーガーを食べながら彼女はそう考える。
後ろの席から女の話し声が聞こえる。きっと、ママ友だろう。彼女はその会話を盗み聞きした。「ねえ、聞いて、家の隣に大学生みたいな人が住んでいるんだけど、昨日、警察が着てその人を逮捕しちゃったのよ。」「やーね。きっと、妊娠しているか何かよ。そんな人がいるからここまで迷惑しちゃう。私のところも警察が仲間がいるかもしれないからって、あちこち探しまわったのよ。怖いからありゃしない。」「でも、なんで子供なんて欲しがるのかしら。旧時代なんか子供がいた家庭なんて負担しか無くて苦しいっていう見方しかできないわ。」「馬鹿なのよ。テレビでも言ったわ。子供を作りたい人間の心理というのは進化前の本能に支配されているって。」
彼女はその会話を聞く。旧時代の人間…。私は旧時代の親の元に生まれ、旧時代の習慣に従い結婚した。私も進化前の人間なのかしら。グレタはそう考えた生まれつき、考えすぎる体質なのだ。そして、いまこうやって、夫を探したいと思っているということも。すべては進化前、見下されるべき人間の行動。
だけど、彼女は抑えられなかった。欲求が抑えきれない。あの人と一緒にいたい。あの人ともう一度、抱きしめあいたい。もうなくなったはずの思春期の夢。
生物というものは本能からくるものには逆らえない。本能のどれは人間も出し、ハエも変わらない。それが人間を生物タラ占め、政府が制御できないプロセスなんだ。
グレタは立ち上がった。会計をして、旦那を探そうとした。彼女と旦那の思い出の場所。ルビーナで。
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