第47話

「…何で俺が?」


作れないと言ったのが障ったらしく、意地でもマーボーカレーを作る気のアーチェ。


だからって、何で俺が教えなきゃなんないんだよ?


「作れんの、アンタしかいないないじゃん」


「やだよ」


「なんでよ?」


教えたところで、どうせケンカになるだろ。

それに。


「ウチのは特別なんだよ」


「マーボーカレーはどこででも作ってんじゃん」


「他とウチでは違うんだよ」


「どう違うのよ?」


「そ、それは――」



“それは、バークライト家の一員にならないと教えられないから。


そうでしょ?

お兄ちゃん。


初めてそのことを聞いた時、クレスさんに『チェスターのとは違って、おいしい!』って言ってもらえたらな、そう思ったの。


だから。


お兄ちゃんがクレスさんを呼びに行ってるときに、少し味を足したの。



おいしいって言ってくれて、嬉しかったなぁ。”

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