第44話

「……何で、あの時の夢を見たんだ?」


朝。

カーテンの隙間から入る光に目覚めたチェスターはつぶやいた。


夢のわりには鮮明だったな。と思う。


普通、自分が思い出そうとしたって、もっと曖昧なものなんだが。


なんでだ?


腕を組んで疑問に思っていると、突然陽の光が消えた。


「ん?」


こんこんっ


窓をたたく音が聞こえて、気になって窓に目をやると、馬の尻尾が垂れ下がっているのが見えた。


――否。


「やっほー♪

元気してたぁ?」


馬の尻尾だと思っていたものが、だんだん下がってきて顔が現われた。


「アーチェ?!」


ダオスを倒して以来、久しぶりに会う彼女であった。


……ダオスを倒しに行ったのは、今、目の前にいる彼女ではなく、過去の時代の彼女なのだが。


「おまえ、何でこんな朝早く…!」

「別にいーじゃん。

それより、チェスター。早く窓開けなさいよぅ!」


ほうきに乗って宙吊りの彼女は、寒いのか鼻を赤くしながら両腕をさすっていた。

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