第39話

「…出来たら呼びに行くから。そしたら最初の試食人になってくれよ。…な?」


まだムクれているクレスに、チェスターはなだめるように言った。


「…いいの?!」

「ああ」


その言葉に、ぱっと明るくなったクレスの顔。

すると、その場をさっと離れて、チェスターに振り向く。


「約束だぞ!

チェスター、ちゃんと呼びにこいよっ!」

「わかったよ」


思い切り手をあげ振るクレス。チェスターも、控えめに手を振って返した。その姿を確認すると、クレスは自分の家へと帰っていった。


「バークライト家の一員…かぁ」


(ん…?)


当時は聞こえなかった声が、大人(いま)のチェスターには聴こえた。


誰が?と辺りを探そうとしたが、


「…っていうワケだ。

アミィ、がんばれよ」

「んもぅ!

お兄ちゃん、勝手に話し進めちゃうんだから!」


夢の中の二人の声に、その行動は中断された。

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