第37話

「バークライト家のマーボーカレーってのは、スパイスの配合率が重要なんだ」


野菜の皮を剥き、それらを刻みながらチェスターは説明をしていた。


「配合率?」

アミィは包丁を使っている手を止めて、聞き返した。


「ああ。

マーボーカレーってのは、一般でも作られているけどウチのはそれが違うんだ。

野菜を切り終わったら、それを教えるから――…」


コンコン



言い終わる前に、玄関のドアを叩く音がした。


(そうだ。この日は人が来たんだよな。)


「おーい、チェスター!」


声の主はクレスだ。

ドアが壊れそうなくらい何度も叩いたんだ。


「南の森に行こーよー」


「お兄ちゃん。

クレスさん呼んでるよ?出ないの?」

「ったく。

アミィ、食材切っておいてくれ。気をつけてな」


怪我しないかと心配しながらも、アミィにそれを任せてチェスターは玄関へと歩いた。

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