第31話

「さて…」


ご飯の準備を始めだしたアーチェ、ミント、クレスを見たチェスターも動きだした。


「…あ、あの!」


礼を言う機会を無くしてしまう、そう感じてすずはチェスターを呼び止めた。


「ん?どうしたんだ?」


振り返り、こちらに見せた顔は穏やかで、言いたいことがどこかへ飛んでいってしまいそうでした。


「チェスターさん。

ありがとうございます」


今言える精一杯の言葉で言うと、


「おう」


にっと笑ってみせた。



私は、この方達と旅をしてから、少しづつ『ひとらしさ』を得ていました。


その変化にまだ戸惑うこともあるけれど、この感情はなくしたくない…。


「私も手伝います」


この方達と一緒に旅に出てよかった…。


すずは心の中でそう思い、あたたかな光の中に駆け込んで行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る