第28話

あれ?

チェスターさん、りんごの他に…別に何かを入れていますね?


この位置からは、それが何だったかは見えなかったけれど、カレーをおたまで混ぜた時の


ふわり


さっきまでの嫌な気分を消すような、甘い…

甘い香りがしたんです。



「すずちゃん。飲んでみな?」


チェスターは出来上がった甘い香りのカレーを小皿にそれを少しだけよそって、すずに手渡した。


「……」

受け取った皿を覗き込む。


甘い香りはしても、見た目はやはりカレーですよね。


…たとえほんの少しでも、初めて食べたときの印象は簡単に変わるものではありません。


けれど…!


「すずちゃん!?」


チェスターを信じることにしたすずは、心を決め、皿の端に口をつけて一気に飲み干した。

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