第27話

「待っててね、すずちゃん。今から別なもの作るから」


クレスは慌てながら、テーブルに残っている食材をあさり始めた。


その時。


「待てよクレス」


すずの横を通り抜け、クレスのいるテーブルを通りすぎた。


「…チェスター?」


「ったく、しょうがねぇなぁ」


チェスターさん??


チェスターは抱えていた紙袋を空いてる場所に置き、クレスの代わりにキッチンに立つ。


何が始まるんでしょうか…?


クレスとすずは、彼のやることをただ見ているしかできなかった。


チェスターはカレーの鍋より小さい鍋を取り出し、引き出しから新しいおたまを手に取った。

そしてカレーの入った鍋のフタを開け、カレーを3分の1、小さな鍋に移した。


『?』


チェスターの行動がまだわからない。二人は傾げていると、チェスターはフッと小さく笑い、

「まぁ、見てろって」


小さな鍋のほうを火にかけ、紙袋を開けて買ってきたりんごを取り出す。それを慣れた手つきで皮を剥き四つに割った後、二片だけ種を切り取り、さらに六等分したものを鍋に入れた。

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