第26話

「どうしたんだよ、チェスター?」


「“どうしたんだよ?”じゃねぇよクレス!

おまえ、今何作ってる?」


チェスターがなぜ不機嫌なのか、まだ気づかないクレスは首を傾げていた。


「何って…。」


訳がわからないまま、火をかけている鍋を見る。


「カレー…だけど…?」


そのあと視線を戻し、チェスターを見たあと下を見た。


下とは―…『すず』だ。


「………ああっ!!」


チェスターの言わんとすることに気づき、のほほんとした顔が、みるみる険しくなっていく。


「すずちゃん、ごめん!」


非を認め、すずに謝るとクレスは火にかけていた鍋をすぐに止めた。


「い、いえ…」


すずはうつむきながら小さく首を振った。

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