すずとカレー

第18話

「すずちゃ~ん!

ごはんだぜぇ」


「はい」


宿の部屋にひとり、神経を研ぎ澄ませていると、私を呼ぶ声が聞こえました。


この声はチェスターさんですね。


閉じていた瞳をゆっくりと開く。返事をしてから正座していた足を崩し、立ち上がる。


「今、参ります」


あ、このかおりは…


部屋を出てすぐ気がついた。鼻につく香り。けれど嫌な気分にはならなかった。


以前だったら嫌でした。


私の一番苦手な…


「今日は、カレーだぜ」


チェスターはあっさりと言う。


「俺の特製の、な」


そう付け加えて。

「はい」


うなづいて、すずは席に着く。


意外ですよね?

私もそう思います。


だって以前なら、一口食べただけでダメだったんですから。


でもチェスターさんが作ったものなら大丈夫なんです。

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