第16話

「…う」


空気が和んだところで、小さくうめいたのはアーチェ。ゆっくりと目を開く。


「アーチェさん!」


「ん?ミント…?」


彼女の声を聞くと、チェスターはチッと舌打ちをし、またも彼らに背を向けた。


「…外で食ってくる」


ぱたん。


ああ、そっか。


アーチェは思い出した。料理が失敗したこと。チェスターの言葉にイラついて…。


ううん、その先はどうなったか覚えてないや。


「アーチェさん。大丈夫ですよ」


「何が?」


何かを含んでいるミントの言葉が、アーチェにはわからなかった。


だってアイツ結局出てっちゃったじゃん。


「作り方、私が教えますから」


「…うん。ありがと」


“大丈夫”ってこのこと?じゃない気もするが、ミントの微笑みにそれ以上は訊けなかった。

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