第12話

「いい…っ?!」


嫌そうな声を出したのはチェスター。

そう、アーチェは彼に向かって歩いて行ったのだ。


「チェぇスタぁぁぁぁ……っ!」


パリ…っパリ…っ


アーチェが間合いをつめるごとに、肌の痛みが強くなる。


「チェスター!逃げろ!」


「く、クレス。逃げろったって…」


迫るアーチェ。


横に行けばクレス達もヤバいだろう。


なら、出るしかない!


幸い、このドアは内側から押すタイプだった。チェスターは、素早く開け滑るように廊下に出て。勢い良く閉めた。


バタン!


ゴッ!


「いた!」とアーチェがドアにぶつかった音と声。


と、ともに。


バチィン!


「きゃん!」


「うわ!」


「ぐうっ…」


「きゃあ!」


「………」


ショートするような音と、4人の悲鳴。


「し…しまった」


被害を加えないつもりが、ドアを閉めたことで、結局被害を加えてしまったチェスターだった。

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