第5話

アーチェがチェスターをにらんでいると。


「…あら?」


ふわりと漂う香りに気がついたのはミント。


「アーチェさん…もしかして…?」


「さっすが、ミント♪」


そんなやりとりを見ていた男性陣。

そう言われてみれば、と鼻で確かめてみる。


「これは―…」


「これは、ミートソースのにおいだね?」


クラースが言いかけて、クレスが答えた。


「そ☆

夕食に、と思ってぇ…スパゲッティ作ったんだよね~」


アーチェがクレスに嬉しそうに体をくねらせていると、


「おめぇがか?」


うへ、と吐くような真似をしてチェスターは言った。


「俺、外で食ってくるわ」


部屋に入りかけていたチェスターの靴は後ろに退き、背をアーチェに向けた。


それじゃあ、アタシの計画が…!


チェスターの意外な行動に、アーチェは慌てて、


「ちょ…ちょっと…!」


チェスターを追いかけ手を伸ばす。


「…!」


「たっ!?」


裾を掴んだと思うと、突然足を止めたチェスター。アーチェは勢い余って彼の背中に突っ込んだ。

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