第53話
「お前…!」
ゼロスが見せた顔は、救いの塔での出来事が関係しているからだなとロイドは思ったが、今は黒い底に飲まれないことが先だった。
「文句は後で聞く!
今は早くここから出るぞ!」
ロイドはゼロスの腕をつかみ、光の射す方向へと器用に泳いだ。
☆
水面に、こぽこぽと気泡が現れる。
「…ぷは!」
その場所から勢い良く飛び出したロイド。彼の後ろから控えめに現れたゼロス。
「……」
眉間にしわを寄せたまま、黙ってロイドの事を見ていた。
「お!
あそこから上がれそうだな。行こうぜ、ゼロス」
そんなゼロスの様子には気づかずに、ロイドは彼の腕をつかんだまま再び泳ぎだした。
だが、それを拒むように動いてくれないゼロスに気づいて、ロイドは泳ぐのをやめた。
そうだよな。うん。
「…ゼロス…ごめん…」
ゼロスがずっと俺に向けていた視線には気づいてはいたんだ。
怒っているような。
恨んでいるような。
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