第51話

……。


……。


あれ?

俺、落ちているのか?


たしかベッドに座っていたはずだった。


なのに、これは何だ?


ロイドは違和感を感じて目を開いた。

辺りを見回すと、木の壁やランプがない。


ここはどこだ?


「あ」


と言って口を開くと、口から泡が現れてロイドは理解した。


ここは水の中だ。と。


けれど息苦しさは感じなかったロイドは、これは夢なんだ。と思い至った。


手で掻いてみると前に進んだ。


「…夢の中のわりには、動きづらいなぁ。とりあえず外に出るか」


ロイドは向きを変えて、光が射し込んでいる水面を目指して泳ぎはじめた。


と。


何となく見た水の底は暗かった。それは当たり前の事なのだが、背筋が凍るような嫌な感じがしたのだ。


黒に近い、水の底。


そこに小さな赤色がロイドの目にとまった。


あれは―…?


その赤はゆらゆらと揺れていた。


まさか!


危険だと思っていた場所に、ロイドは夢中になって泳いだ。

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